センターについて

一個の受精卵が増殖し分化して、有機的な構造と機能をもった体ができるまでのプロセスには、神秘的ともいえるドラマチックな変化が次々と起こります。この現象を「発生」(Development)、それを研究する学問を「発生学」(Embryology)または「発生生物学」(Developmental biology)といいます。

実験動物では様々な知見が得られていますが、当然のことながらヒトで実験することは不可能です。

当センターには、ヒト胚子数万例が所蔵されており、重要な症例については、固定された後、連続切片として保存されております。これらを組織学に検討することで、動物実験で得られる知見にさらに新たな情報を加え、発生現象を解明する手助けになるものと確信しております。

これらの研究をさらに発展させるために、若く熱意ある研究者を広く募集します。

研究内容

基本的には研究者の皆さんの希望に沿いますが、標本を著しく傷つけるようなことは避けてください。ちなみに現在進行中のものは

  1. ヒト胚の形態発生に関する三次元データベース( 科学技術振興機構(JST)「バイオインフォマティクス推進事業」*平成17~22年度まで) 成果ホームページはこちら→Kyoto Human Embryo Visualization Project
    1. :ヒト胚子のMR imaging(筑波大学物理工学系NMRイメージ研究室 巨瀬研究室との共同研究)
    2. :ヒト胚子のEFIC imaging(本邦初となる新しいイメージング技術EFICを扱います)
    3. :画像データベースの構築(MRIおよびEFICデータを用います)
  2. 画像診断機器を利用したヒト胎児の解析
  3. 三次元再構成を用いたヒト胚子の発生の顕微解剖学的解析
  4. ヒト胚子のMR画像を用いた解析(京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻 高桑研究室との共同研究)
  5. ヒト胎児標本形態データベースの構築(京都大学大学院 情報学研究科システム科学専攻 医用工学分野(松田研))
  6. 医学教育を目的とした精密なヒト 胎児モデルの構築(胎児三次元モデル構築)と医学教材「Clinical Embryology」の作成(京都大学学術情報メディアセンター 美濃研究室)→京都大学知的財産登録済。
    *当センター作成の教材「Clinical Embryology」のお問い合わせはこちらへ
  7. 位相CTを用いたイメージング(北里大学、日立製作所と共同研究)
  8. 組織切片のデジタルアトラス作り:数万枚の組織切片のデジタル化を進めております(科学研究費補助金・研究成果公開促進費(データベース)による)
  9. 全前脳胞症の分子遺伝学的解析(National Institute of Health:アメリカ国立衛生研究所との共同研究)

などです。